Home / BL / 【男の娘BL】ボクと彼の、はじめてだらけの恋物語! / エピソード6 ボクたちの初性転換講座

Share

エピソード6 ボクたちの初性転換講座

last update publish date: 2026-06-26 15:15:43

「素朴な疑問なんだけどさ、なんでお前の主治医って、さっさと診断つけないの? かなり小さい頃から、通ってるんだろ?」

 今日は、タケルくんのおうちで、宿題退治。

「うん。前も少し話したけど、大人になるまで、ジェンダーって割と不安定でね。大人でも、突然ジェンダーが変わる人がいるぐらいなんだ。だから、慎重なのが一つ」

 ふんふんと、頷く彼。

「で、重要なのが、もう一つの理由で、GIDの診断が下って、いざ性転換手術した人が、その性別で生きてみると、『こんなはずじゃなかった』って後悔して、自殺する事が多いんだって。だから、ジェンクリの先生って、慎重なの」

 自殺という物騒なワードに、ぎょっとするタケルくん。

「そこで、望む性別で実際生活してみる、テスト期間を設けて、本当に大丈夫かどうか、試すんだ。で、『この人なら、ちゃんと大丈夫だ』って思ってもらえれば、やっとこ診断書がもらえる感じ」

「へえ~……」

 どういう感情なのか、ため息をつく彼。

「で、ボクの場合、目下のネックが、女子コミュニティに馴染めないことと、この一人称」

「あー。こないだ、地蔵状態だったって言ってたな。でも、ボクっ娘、そんな駄目か?」

 怪訝な顔。

「ボクらってね、純女さん以上に、女らしさを求められるんだ。そうじゃないと、『なんだ、結局男じゃん』って思われちゃうの」

「えー! この、ジェンダフリーを目指そうってご時世にか!?」

「そういうもんなんだよ」

 ため息。

「まー、ボクっ娘自体が珍しいから、奇異な目で見られるのは、覚悟しないとだね。実際、見知らぬ人に、変な顔されたことあるし」

「んー……。ボクっ娘、かわいいと思うけどなー」

「ありがと。でも、タケルくんみたいに思ってくれる人は少数派だよ、どうしても。結局、二次元の世界じゃないと、受け入れてもらえないんだよね」

「そーゆーもんかー。オレなんか、お前のボク呼びに、キュンと来ちゃうけどな~」

 照れくさくなって、下を向いて、もじもじしてしまう。

「タケルくんみたいな人が、いっぱいいたら、いいのになー」

 照れたと思ったら、今度はため息。我ながら、忙しい。

「他にはね、性ホルモンって一度使ったら、一生使い続けなきゃいけないの。そうしないと、骨粗鬆症になっちゃうんっだって。あと、女性化、あるいは男性化した体も、元には戻らない。もし、後から気が変わってもね。だから、お医者さんにも、何度も念を押されてる。あと、保険も効かないから、高いんだ」

「でも、今にでも始めたいんだろ?」

「うん。でも、最初に言った理由から、成人するまで、様子見なんだ」

 また、ため息をついてしまう。

「それと、お医者さんが慎重な理由は、やっぱり、手術が命がけってことかな」

「命がけ!」

 タケルくん、びっくり。

「MTF男から女への性転換手術って、二種類あるんだけど、比較的簡単な方でも、股のど真ん中に、結構深い穴開けるからね。もう片方のなんか、難易度も危険度も、もっと高いよ」

 タケルくん真っ青。

「お前、ハードな世界に生きすぎだろ……」

「そうだね。ボク、TVじゃなくて、やっぱりGIDだと思うんだよね。この体、嫌で仕方ないから」

 じっと、自分の股間を見つめる。

 すると、タクルくんが立ち上がり、背後から抱きしめてきた。

「オレ、絶対お前を幸せにする! 約束する!」

「ありがとう」

 抱きしめる手に、そっと触れる。

 産まれる時、神様が、心と体がちぐはぐでないようにしてくれてたら、こんな苦労しなくて済んだんだろうな。

 でも、そうだったら、タケルくんにとって、ただの生徒の一人に過ぎず、恋人になってなかったかも知れない。

 運命って、ほんと不思議。

 ボクの最大の哀しみ。それは、タケルくんの子どもを、産んであげられないこと。

 今の医学では、どうしようもないらしい。

 なってみたかったな。お母さん。

 生理って毎月大変らしいし、出産は命がけらしいけど。

 それでも。

 つい、涙がこぼれてしまう。

「お前……泣いてる?」

「ゴメン、ちょっとね。すぐ、収まるから」

 指で拭いながら、笑顔を作ろうとする。

 彼まで、悲しい顔をするのは嫌だ。

 そんなボクの涙を、キスで拭うタケルくん。やっぱりきざだよ、キミ。

「泣かないでくれ、とは言わない。多分、誰にもどうしようもなく、泣きたいことで悩んでるんだなって思うから。こんなことしか、できないけど……」

 互いに、唇を求め合う。

 そして、キス。

 静かに、過ぎていく時間。

 入学式の日、さっそくボクはからかわれた。そして、必殺のげんこつを、そいつに叩き込んだタケルくん。

 彼がいなかったら、ボクの小学校生活は、仄暗いものになっていただろう。

 ボクの、ナイト、灯火、太陽……。

 どんな言葉でも言い尽くせない、素敵な人。

 大好きだよ。心の底から。

Continue to read this book for free
Scan code to download App

Latest chapter

  • 【男の娘BL】ボクと彼の、はじめてだらけの恋物語!   エピローグ ボクたちの将来

     会場の喧騒が、この控室にもかすかに響いてくる。 眼の前には、頭からタオルを垂らしたタケルくんが、ベンチに座っているけど……。 精神統一しているように見えて、組んだ指の親指を、忙しなくすり合わせている。これは間違いなく、プレッシャーを感じているね。 タケルくんは、U20世界陸上で、百メートルで銀、二百メートルで銅という、とても立派な成績を残したけど。悲しいかな、世間様の扱いは、金に非ずば、メダルに非ずという非情さだ。 でも、陸上界ではその名を知られる存在になったのは確かで、前回の金メダリストへのリベンジに燃えている。ただ、これは……。見るからに、入れ込み過ぎだね。タオルで顔は伺えないけど、肩から緊張の様相がにじみ出ている。 ボクはというと、専門学校を卒業し、スポーツメンタルトレーナーとして、本格的な一歩を踏み出したところ。 するとタケルくん、ボクをチームのメンタルトレーナーとして、指名してくれました。 もちろん、監督やコーチらからは、実績のないボクの起用に強い反対があったけど、タケルくんが、「幼馴染かつ恋人で、気心知れた仲であること」を、強調したそうです。 タケルくんも、銀と銅という実績があるので、最終的にチームに、「さしあたって、タケル専属」という形で雇われました。 彼が、わがままと取られる態度をしてまで招いてくれたわけで。今回の結果如何で、ボクの進退が決まるし、タケルくんへの、周りからの心象にも響く。 ボクとしても、失敗できないというプレッシャーがあるけど、それが選手に伝わってはいけない。 今日まで、文字通り精神のトレーニングをしてきたわけだけど、これから総仕上げだ。「タケルくん」 彼の横に腰掛けるけど、こっちを向いてくれない。これは、耳に入ってないね。「たーけるくんっ」 肩をつつくと、ビクッとしてこっちを向いてくれた。 ここで、「リラックスしよう」なんて声をかけても意味はない。そんなこと、彼自身が重々わかってる。 じゃあ、どうするか。「何を悩んでるか、聞かせて?」 穏やかな声色で、問いかける。「……オレ、死ぬほど練習してきた。でも、それでも、あとほんのちょっと届かなくて。動画見て、何度悔しく思ったか! あれから、監督やコーチの指導で、さらにギリギリまで追い込んできたけど、向こうも当然、それやってるわけでさ。差

  • 【男の娘BL】ボクと彼の、はじめてだらけの恋物語!   ラストエピソード ボクたちの初決意

     楽しかった夏休みも、ついに最終日。宿題モンスターは退治済みなので、今日はタケルくんと遊び収めです。「そらー!」「わぷ! あはは! 冷たくて気持ちいー!」 久しぶりに、タケルくんちで水遊び。二人で水着着て、大はしゃぎ!「はー……、はー……。こーたーい」 ノズルを受け取る。「それーっ!」「うっは! つめて! サイコー!」 もう、二人して大はしゃぎ! そして、引き続き水着姿の撮影会。「よーし、きれいに撮れたぜー」「見せて見せてー」 ジュースを飲みながら、わいのわいの!「ボクにも、タケルくんの写真撮らせてー」「オレなんか撮って、楽しいか?」「うん。こう、マッチョなポーズ決めたりして!」「なるほど。そういう趣向は面白そうだな!」 カメラマン交代。いいのいただきました! ご利益ありそう。 昼を過ぎつつあるので、屋外で遅めのお弁当。お庭があると、こんな楽しみ方ができるのがいいね!「今日も、タンパク質たっぷりだよ~」「うおっ! ステーキ丼!?」「うん。牛赤身が安かったから、野菜たっぷりで仕上げたよー」 ちょっと炭水化物が多いけど、今日は特別に、ね。「うまそー! いっただっきまーす!」 どこかの剣士さんみたいに、一口ごとに「うまい! うまい!」と言いながら食べる彼。ほんと、作ったかいがあるなあ。「ごっそさんでした!」「お粗末様でした、ボクも、もうちょっとで食べ終わるから」 ちょこちょこお箸を進めていると、そのさまを微笑んで見つめてくるタケルくん。急に恥ずかしくなって、俯いてしまう。「なんか、見つめられると恥ずかしいよ~」「お前も、オレの食べっぷり見てたじゃん。お互い様、お互い様」 むう。ぐうの音も出ない正論。「ごちそうさまでした」 水遊びを終え、シャワーを借りて買ってもらった服に着替えると、台所を借りてお弁当箱と箸を洗う。 その後は、ポ○モン対戦!「あ! タケルくんに、初めて勝てたー!」「お見事!」 拍手をもらい、照れてしまう。 もちろん、接待プレイなんかじゃない、真剣勝負。嬉しい! さらに、ポ○モン映画リレー&雑談。 思えば、マリ○リハンカチが縁で、ボクと彼のお付き合いが始まったわけで。縁結びのポ○モンだね!「ねえ、タケルくん」「ん?」「ボクね。新学期になったら、女友達作っ

  • 【男の娘BL】ボクと彼の、はじめてだらけの恋物語!   エピソード41 ボクたちの初ノープランデート ―後編―

    「さーて、またじゃんけんだな!」 じゃーんけーん、ポン! ありゃ、負けちゃった。「お、勝った。じゃあ、お前に服をプレゼントだ!」「ええ! いいの!? そんな、ボクだけ得する話!」「お前がきれいだと、オレも嬉しい。Win-Winだろ?」 ほわあ~……。なんでしょう、このパーフェクト彼氏は!「ほんとにいいの?」「二言なし!」「じゃあね、いいお店があるんだ!」 いざ、ショッピングモールへ! ティーン向け女性服のブティックにとーちゃーく!「あのね、提案なんだけど、タケルくんに選んでほしいんだ」「ええ!? オレ、女物の選び方とかわからんぞ!?」「ボクは、タケルくん好みの服が着たいんだ。だから、どんなのも大丈夫! パンツ選んだら、パンツルックだってするよ! どうしてもわからないこととか悩んだら、ボクや店員さんに訊けばOK!」 彼は、ボクがパンツルックを嫌ってるのを、知っている。それでも、あえて宣言した。タケルくん好みの女になりたい!「わかった」 入店~。二人で見て回る。「あ……」 まず、タケルくんが手に取ったのは、タイトなデニムのミニスカ。「そのサイドテール見てたら、ビビッときてさ。あ、でも、ミニスカ嫌だったよな?」「ううん。ボク、タケルくんが選んだものなら、なんでもいいよ」 抵抗があるといえばある。万一、アレが見られたら生きていけない。でも、タイトのデニムなら、そんなに風でめくれることもないと思う。「そうか? じゃあ、これキープして……」 さらに、店内をうろうろ。「お前、水色と白好きだよな。この白いノースリーブなんかどうだ?」 次に選んだのは、襟付きのノースリーブ。「ちょっとあててみて。デニムは、ボクが持つから。……どう?」「……イイ! 自画自賛だけど、オレ、ナイス! お前、もっとナイス!」「ほんと!? すみませーん、試着いいですかー?」 さっそく、試着。我が身の余計なモノを見たくないので、デニムを履いてから、鏡を見る。 おおー! たしかに、イイ! さっすがタケルくん!「すっごく、いい感じだよ~! この後は、これ着て歩こうかな。店員さん呼んでもらえる?」「おお! 気に入ってもらえたみたいでなによりだ! すみませーん!」 ややあって、店員さんと戻ってくるタケルくん。精算後、タグを外してもらい、さっきまでの服はリ

  • 【男の娘BL】ボクと彼の、はじめてだらけの恋物語!   エピソード40 ボクたちの初ノープランデート ―前編―

    「よっしゃー! 終わったああああ!!」 ガッツポーズで叫んだかと思うと、大きく息を吐いて、だらんと椅子の背もたれに体重を預けるタケルくん。 今日は、彼の家で宿題のラストスパート中! 夏休みもそろそろ終わり。早いものです。「待ってね。ボクももうすぐ追いつくから」 こちらもせっせと、追走中。「手伝おうか?」「ううん。ボクの手でやらないとだから」「じゃー、せめて、わからないとこあったら教えるから」「うん、ありがとう!」 ああ、サイコーの彼氏さんだ~。「それにしても、ノンシュガーコーヒーゼリー、イケるなあ! さすがだぜ」 今日のおやつは、人工甘味料で作ったコーヒーゼリー。それを、どどん! と、タッパーで出してます。 ボクもタケルくんも、ミルクかける派。気が合うね! それはさておき、ところどころ教えてもらい……。「でーきたー!」 うーんと伸びをして、だらーん。「おつかれー。これで、あとはずっと遊べるな!」「だねー」 二人で手つなぎ、ウキウキるんるん。 まあ、楽しい夏休みも、そろそろ終わっちゃうけど……。「なあ、明日はおじさんマネーと金一封の使って、パーッとデートしねえ!? お前の好きなとこで!」「え、いいの!? でも、タケルくんの好みは?」「オレはいつだって、お前ファーストだぜ!」 いやん、何このパーフェクト彼氏!「じゃあ、ピュー○ランドいいかな!?」「おう! と言いたいところだが、ちょっと待ってな……。 スマホを操作する彼。「うっ! 悪ぃ、完全に資金不足だ……」 しょぼん。たしかに、遊園地って、どこもお金かかるもんねえ……。「じゃあさ、完全ノープランデートとかどう!?」「行き当たりばったりデートか。面白いな!」「でしょ! とりあえず、タケルくんちに集まって、それから考える!」 ト○ピーみたく、人差し指をふりふり。「チャリ使うか?」「うーん。自転車は、とりあえずなしで!」「よっし! 十時集合でいいか?」「うん!」 ああ、明日が楽しみすぎるよー! ◆ ◆ ◆「おー、またイメチェンしたんだな!」「うん! せっかくのデートだからね! どう? どう?」 集合時刻。せっかくのデートなので、またイメチェンしてみました! 今日は、右側にサイドテールを垂らしています。「いいね! 似合ってるぜ。いやー、ほ

  • 【男の娘BL】ボクと彼の、はじめてだらけの恋物語!   エピソード39 ボクたちの初アスリート弁当

     今朝は四人分のお弁当を作ったら、自転車漕ぎ漕ぎ、いつもの公園に向かいます。まだ朝だっていうのに、すでに暑いねー。 タケルくんにLI○Eすると、「カルガモ池のベンチでQK中」とのことで、駐輪場からは徒歩でてくてく。 カルガモ池の方に歩いて行くと……。いた! タケルくんが、肩で息してる。ダッシュ後の休憩かな?「たーけーるくーん!」 声をかけると、疲れ切っているのか、顔だけ向けて、軽く片手を上げて応える。 更に近づき、「おべんと持ってきたよ!」と言うと、少し息が整ったのか、汗を拭きながら、「サンキュ」と返す彼。 保冷ボトルを取り出すと、少しずーつ、ゆっくり飲む。「それは?」「例のスポドリ」 飲み終えると、はー……と、深呼吸。「ごはん、入る?」「おう。ちょうどいい。今日は、これで上がろう」 ボクもベンチの隣に、ちょこんと腰掛ける。「色々考えて、作ってきたよ~」 保冷バッグから、二つのお弁当箱と、お手拭きを取り出し、肩から麦茶のボトルを下ろす。「開けてみて~」「おう。お、こりゃまた、バリエーション豊かだな」「ふふふ~」 まずは、先鋒! ささみとアスパラの、からし醤油マヨ和え! ささみもアスパラも高タンパク! からしマヨは小パック入りで、お醤油は、お魚の小さい容器に入れてます。「いっただっきまーす!」 ごはんは、とろろ麦ごはん。こちらも、とろろはパックで絞るタイプ。 カロリー的には、マ○ナンごはんとかがいいんだろうけど、そこは量を控えめにして、カバー。「うめー! マジうめえ!」「ありがと」 次鋒は、アジのざんが焼き。ここで、青魚というのがポイント! 青魚は、頭にも利くからね! もぐもぐ食みながら、サムズアップをいただく。 さして中堅、枝豆、おから、にんじん、ひじき、油揚げのうの花。これまた、タンパク質もビタミンもたっぷり! スポドリを飲もうとする彼に、「こっちの方が合うでしょう?」と、麦茶を差し出す。今更、間接キスを気にする仲でもないしね!「サンキュ」と受け取り呷ると、一息つく。「ふ~……」「締めに、どーぞ」 タッパー入りの、はちみつ漬けレモンを取り出す。「おー……。んー、すっぱー!」「ふふ。効くよね、それ」「ごっそさんでした! あーもう、サイコーだな! 文字通り、朝飯前のトレーニングはキツかったけど、耐え

  • 【男の娘BL】ボクと彼の、はじめてだらけの恋物語!   エピソード38 ボクたちの初健康トーク

    「ねえねえ、タケルくん。白骨死体って、見つかることあるじゃない?」 タケルくんちのリビングで、ジュースを二人で飲んでいると、ボクの突飛すぎる話題に、彼がむせてしまいます。「なんなんだ、どうした急に」 咳き込みながら、ツッコむ。「ボクがさ、そんな状態で見つかったら、ちゃんと、女性の死体と思ってもらえるのかなあって」「おいおい、縁起でもないこと言うなよ」 肩をすくめ、首を横に振られる。「んー、でもさ。男性の死体って判断されたら、ショックだなあって。腰幅もまだ広くないし、女の人ってね、頭蓋骨の頭頂部が、ちょっと尖ってるんだって。あと、大腿骨に、男性にはない筋があるらしくて。ボクのそのへんって、どうなんだろうなあって」「ミョーなことに詳しいなあ、お前……」「人体に興味持って調べてるうちに、なんかこう、色々とね」 ジュースをいただいて、喉を潤す。「でも、肩幅なんかはこのとおり狭いでしょう? 警察も、首を傾げるんじゃないかなーって」「だから、縁起でもないこと言うなって。せめて、レントゲンで例えようぜ」「あー、その発想はなかった」 ポンと、手を打つ。「でも、なんだな。刑事ドラマなんか見てると、歯の治療記録が、身元判明の決め手になるらしいぜ?」「あー。ボク、歯医者さん、かかったことないんだよね」「へえ。大の甘党なのに?」 彼も、ジュースを飲む。「うん。ミュータンス菌っていうのが、いわゆる虫歯菌らしいんだけど、これ、親とのキスとか、スプーンの共有とかで感染しちゃうんだって。ただ、一歳まで気をつければ、もうその心配はなくなるらしくてね。お母さんたちそれ知ってたから、すごく気をつけたらしいよ。あとボク、普通に歯もよく磨くし」「ほー……。オレには、ミュータンス菌ってのがいるかどうか知らんけど、歯はめっちゃ念入りに磨くから、虫歯なったことないな。スポーツ選手は、歯が命だからな」「さっすが~」 互いに感心。「あー……。ただ、親知らずが生えたことがあってなー。そんときゃさすがに、歯医者のお世話になったわ。もう、引っこ抜くのが、いてーのなんの! ギャン泣きするレベルだったぜ……」「タケルくんでも!?」 苦々しい顔で、頷く彼。「はー……。タケルくんのギャン泣きとか、想像できないや」「恥ずかしいから、しないでくれ。こればっかはなー。歯磨きじゃ、予

More Chapters
Explore and read good novels for free
Free access to a vast number of good novels on GoodNovel app. Download the books you like and read anywhere & anytime.
Read books for free on the app
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status